FC2ブログ

新・保護者^2 その9

 ▼

「いやほら、ね? ちょっと待って。ほらユキ、ちょっといったん落ち着こう? ね? つまりその、別にこれはそのそーゆうことじゃなくてね? なんていうか様式美みたいなアレっていうかほら、わかるでしょ? ああゴメン違う。違うんだってば!! ……その、断じてそういうことじゃなくて。決してキミのことないがしろにしちゃってるワケじゃなくてね?! ええと、あーもうなんて言えばいいのかな、えっと、ああそうだほら、知ってる? 日本刀。あれってさ、昔は生活必需品って言うかいわゆる武士の魂ってことで、道具として使うことに意味があったわけじゃない? そりゃまあ刀なんだから斬れば血がいっぱい出ちゃうし死んじゃうかもだけど、まあつまりそーゆうために造られたものじゃない。善悪はどうあれそういうために造られた実用品なんだよ。でも、実用品だからって別に使い勝手さえ良ければいいって人ばかりじゃなくて、つねに身に付けてるからこそ、見栄え良くしようって思う人もいたわけなの。だから長い年月のうちに、綺麗な刀っていうのができて、美術品としての意味も持つようになったわけ。で、そのうち刀持つようなおサムライさんはいなくなったんだけど、実用品としてじゃなくて、美術品としての価値は残ったんだよ。知ってるかもだけど、一本で何百万円もするよーな高額の刀もあるわけ。これって単純な歴史的価値とは別なんだよ? で、そういう高額な価値のある刀の評価が、ぜんぶ実用部分、つまり刃の部分の機能性とか美しさにあるかって言うと、これがそーじゃないワケなんだよね。だってもう刀の評価のうち、どれくらい斬りやすいかとかどれくらい刃こぼれしないかとかを積極的に確かめる人はいなくなってるんだから。まあ積極的に確かめよーとしちゃったら捕まっちゃうわけなんだけどさあっははは。そりゃそーだよおねーさん大爆笑だ。……こほん、それでね、そーゆう日本刀の価値はどのへんに移ったかって言うと、それは柄とか目釘とか目抜きとか鍔の細工とか鞘とか――ああゴメン専門すぎてアレか。実は私もあんまりよく知らないんだけど、よーするに刀の装飾部分にある飾りとか、保護とかのために使う、刀の本来の『斬る』って用途とは違う部分にあるのだよ。でもそれは不自然なことじゃなくて、本来の用途と、普段身に付けるものなんだから綺麗にしようって心――私はたぶんこれも日本人の“粋”ってことなんじゃないかなって思うんだけど、その現われだと思うわけ。中には刀の刃そのものはそんなにたいしたことなかったり、刃そのものないのに、周りの拵えだけでやっぱり何百万円って価値がついたりすることもあるんだよ。……ってああ、違う違う勘違いしないでねユキっ!? こ、これはね、別に刀の刃そのものに価値がないってことじゃないの。刀の装飾としてこそ価値があるわけで、単純にその装飾品だけが評価されてるってことでもなくてね? そりゃそーゆうの専門に扱う人もいるけど、あくまで刀があってのことなのだと思うよいやホントおねーさんマジでそう思うなっ!? で、でね、だからその、つまり何がいいたいかって言うと、えーとほらなんだ。あぅユキ、ゴメンねなんか分かりづらかった? えっとそだな、あー、えーと、うーと、ああ、ほら!! そうアレアレ!! アレだアレ!! ユキ、アイスクリームって好きだよね? あ、いやソフトクリームのが好きなの知ってるけどカップアイスだって好きだよね? ほら、あれもそうなんだってば!! ほら、良くある話題だけど食べるときにふた開けて、蓋にくっついてるアイスとか舐めたりするじゃない? なんかアイス本体より美味しく感じるとか、いわない? あれもたとえばアイスの蓋だけたくさん貰っても別に嬉しくないわけじゃない? あくまで本体のアイスがあって、その蓋にくっついてるからなんかこー、ちょこっと幸せになる気がするわけで、たとえば豪華ディナーのデザートにカップアイスの蓋だけ出てきたらすっごい微妙な感じじゃない? ってことで、だからその、あくまでね、カップアイスの蓋はアイスの蓋だからこそその稀少価値? みたいなのがあるわけで、それが美味しいって思うのは、決してアイス本体よりそっちのが好きってわけじゃなくて、あくまで大好きなのはアイスのほーであって、カップアイスの蓋だけあればシアワセってことでは、断じてなくてですね、その、つまり……ええとユキさん、あの、ですからその……よーするにですね……」
「で、それがわたし完全放置のそっちのけでひたすらひたすらただひたすらにぱんつをふゅふゅすることに夢中になってたことへの言い訳でよろしーのでしょうか、おねーさん?」
「いや、ほら待ってってば? なんていうのかな、たぶんユキも緊張してるだろーし、なんというか軽くリラックスのつもりでですね? ほら直接いきなりだといろいろ痛かったりなんだりで大変かなーと思って、布地越しのそふとなたっちは重要かなとかいちおうこれでも熟慮の上にですね、だから断じてユキのことをどーでもいいと思ってたわけではなくてですね?」
「そーですかおねーさん。お気遣いたいへん感謝しますけど、それじゃあ脱がせたあと3時間もそっちの布っキレだけえんえん弄りまわして夢中になってる理由にはなりませんよね? 素っ裸のわたしだけ置いといて。で、挙句わたしがいーかげん呆れはてていなくなってるのにも気付かないってどーですかね? 人として。……おねーさん、いっそそれと結婚しますか? その使い古しの布っキレと。……いいですよ、もー二度と穿く気ありませんからそれ。もともとお気に入りだったんですけど、いまは見るのも嫌になりましたから。……で、そーやってわたしが心底激怒してるってわかってるのにそこで一瞬でも『らっきー♪』みたいな顔しちゃうのがとことん救いようないですねおねーさん? ああ、新婚旅行が決まったら教えてくださいね。こっとんの星でしたっけ? いくらでも行って来たらいいじゃないですか。帰ってこないでもいいですよ? わたし、すっっっっっっっごくお邪魔みたいですからね、おふたりの。……おねーさん、長い間お世話になりました。どーぞ末永くお幸せに、その布っキレと素敵な家庭を築いてくださいね? ああ、いちおうお祝いだけはしてあげます。わたし、おねーさんと違って、いたって常識をわきまえたオトナになりたいもので。見たくないもの見ても、スルーするくらいのスキルは身に付けたいんです。それじゃあ、ごゆっくり?」

 するする、ぺしん、と襖が閉じる。
 私と、私の握り締めたユキのぱんつ一枚を残して。

「ゆ、ユキーーーーーーーーーーーーーーーーッ!? かむばーーーーーーっくッ!!!!」



 (続く。)



 

 新ジャンル:自分のぱんつに嫉妬。

 ……つくづく自分頭悪いなと思った。

コメント

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL

http://oruhazaka.blog28.fc2.com/tb.php/653-af72cadc