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【天下無双・零】 アルティメット・ランブル編 29

■MASTERSCENE04/玄野宗一郎etc


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 英国グリニッジの刻む世界標準時からタイムラグなく転送された中央時計塔の時報コールにリンクして、IANUSのオートクロックスが15時30分を刻む文字盤を、それぞれの保有者の脳裏に描画したその瞬間。
 照り付ける白銀灯の中を疾走する8台の車両は、タイヤを軋らせてアンモニア・アベニューの4番通りに停車する。
 昼夜を問わず人ごみに満ちた雑踏を切り開くテープの中、寸分違わず同じ角度を保って並んだ車両の中で、玄野宗一郎は通信に最後のひとことを叩き込む。
「いつまでも女子供の捜査ごっこに任せていては埒が開かん、か」
 袖から真っ黒の義手を覗かせて、司政官直達の命令を一瞥すると、黒塗りのナイトレーベンから金と黒の制服を覆い隠す、濃灰のコートの男達が姿を表す。
『現時刻をもってブラックハウンドの捜査権限は治安対策課に移行されます。遅滞なく任務を遂行しなさい』
「了解」
 猟犬の誇る三つの牙、治安対策課。その精鋭達にリンクスを介して御堂茜隊長の命令を転送し、玄野は告げる。
「首謀者の一人の潜伏先を割り出した。機捜課の解析班に協力を要請。通信記録から他の連中の居場所を当たれ。鑑識班に連絡。証拠品A-57の確定を急がせろ。斑鳩に4名を派遣。乗じて馬鹿騒ぎしてるガキどもを制圧しろ。捜査の邪魔だ。
 いいか、時間を無駄にするな。相手を見間違うな。
 千早だ。俺たちの敵は、千早だ。
 こちらが1秒手間を掛ければ連中はそれだけ事実を隠蔽する。本社の利益のためなら命を投げ出す時代錯誤な連中どもだ。治安対策課の総力を上げて、連中の全てを暴いて暴いて暴き尽くせ。裁くのはそれからでいい」
 玄野の指示に従って、治安対策課の男達は淀みなく配置に付いてゆく。程なくしていくつかの情報が彼の元まで通達される。
 視界を塞ぐ仮想ディスプレイに並ぶデータを一瞥し、そこから読み出した情報を浚い、さらにいくつかの指示を飛ばす。瞬く間にに現在のN◎VAを支配する馬鹿げた対立構造の全貌が明らかになりつつあった。
 リンクスを揺らす着信音。
 玄野はわずかに表情を変えることもなく着信先を確認、応答する。
「玄野捜査官」
「……なんだ」
 通信を送ってきたのは春亥子みのり――若くしてハウンドの中枢にあり、“ブラック・プレス“の名で関係機関に揶揄されるハウンドの広報官だ。
「“善意の市民”からの情報提供がありました。木更タタラ街で戦闘を確認。なおも継続中との事です。軍警データベースより交戦記録より98%の確率で被疑者と一致」
 みのりの符丁に玄野はわずかに眉を動かす。
 “善意の市民”――通称“サイレントマジョリティ(意志なく声なく姿なき大多数の市民)”。軍とセニットの抱える実体なき無謬の情報機関の通称だ。
 どうやら広報官の立場を利用し、みのりはその一部を流用したらしい。多くのトーキーと同じように報道の立場に身を置きながら、彼女は市民の安全のためならば白を黒に塗り替えることを厭わない。
「誘導のため私の《腹心》を現地に向かわせました。合流をお願いします」
「……了解した。津久田、峰、浅森、ロベルト。出るぞ、準備しろ。……後方処理課と一戦も有りうる、気合いを入れていけ!!」
「「「「了解!!」」」」
 玄野の号令一過、堅牢な意志に身を包んだ司法の猟犬達が、声を揃え高らかに応答の吠え声をあげた。


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 真性工房のブラックハウンド&警察系所属キャスト総出演、その2。

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