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【東方】袖振り合うも化生の縁・3

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「どうしよう……」
 くうくうとお腹の虫が鳴る。今日の晩ご飯は何だろう、とつい考えてしまってから、橙は慌ててぶるぶると首を振った。
 あんなに酷いことを言って飛び出してきたのだ。いまさらどんな顔をして戻れるというのだろうか。
 決して毎日、八雲のお屋敷で暮らしているわけではないけれど――もうあそこには戻れないかもしれないと考えるだけで、背中がぞっと冷たくなるような不安が押し寄せてくるのだった。
 八雲の式になる前はどうやって暮らしていたのかを思い出せなくなっていることに気付いて、橙は静かに愕然とする。
「…………」
 再度の溜息。にゃあ、と足元に擦り寄ってきたマヨヒガの猫達に、橙はポケットの中の煮干をぽいとばら撒き、残りをぽりぽりと口に運んだ。
 結局。……意地を張って出てきてしまったのだから、するべきことは二つ。
 今からでもおとなしく、お屋敷に戻って謝るか、自分が八雲の式としての覚悟があることをきっちりと示してみせるかだ。
(でも、示すって言ったって……どうすればいいんだろ?)
 分からなかったら人に聞け。主の教えがふと頭をよぎるが、なんだか今はそれにも素直に従い難い。意地をはり通すなら、全部自分で決めたのだと胸を張って答えたい。
 尻尾を左右にゆらし、むむむと考え込むことしばし。
「……そうだ!」
 橙の頭をよぎったのは、最近できた妖怪寺に招かれたという、外来の大妖怪――
 主である妖狐・八雲藍の宿敵たる、妖怪狸の噂だった。
 

 (続)




 やっと前フリ終了。次回から導入編。
 やってみて思ったけど、ここまで短いと思いのほかリズム掴みにくいな。

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