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【東方】袖振り合うも化生の縁・2

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 きっかけは些細なものだったのだ。
 橙だって別段、幻想郷の妖怪の区分けをした時に、チルノやルーミア達と一緒くたにされてしまうことを不当だと思っているわけじゃない。ガチンコの弾幕ごっこの戦績だっていい勝負だし、本気でケンカした時も、駆けっこをした時も、大体同じくらいでへばってしまうのだし、スペルの使い方も似たようなものだし、一緒になって遊ぶのだって嫌いじゃない。
 ことさらに、自分が格上だなんて意地を張る気はないのだ。
 でも。チルノ達がいつも遊んでいる仲間を思い浮かべてもらった時、そこに橙が含まれないことが多いのは、決して彼女達が苦手だからじゃない。
 万が一――ううん、億の億乗分の一くらいの確率で、紫様や、大結界になにかがあったとして。
 その時は自分もきちんと、式の務めをはたさなければならないのだから。同世代の妖怪達から橙が距離を置いていることが多いのは、そのためだ。
 そうやって、いざという時の事を心のどこかに――忘れることも結構あるけど――留め置くくらいには、橙は幻想郷一の大妖怪、八雲紫の式の式であることを自認しているつもりだった。

 だから、今日の朝に八雲のお屋敷に向った時、いつものように結界の点検と修復に出かけようとしていた藍様に、お手伝いを申し出たのだって、自分の務めを果たさなきゃいけないと考えていたからであって、断じて藍様を困らせたり、邪魔したりしたかったわけじゃない。
 それなのに――
「済まないね橙、今は忙しいんだ。あとで遊んであげるから」
 そんな風に、まるで、他に友達がいない橙が、わざと藍様を困らせているみたいな言い方はないんじゃないかと思う。
 たしかに橙もいつもきちんと宿題をしているわけじゃないし、お留守番を申しつかった時に、おやつを勝手に食べてしまったり、お使いの途中で面倒臭くなってサボってしまったりしたこともあるけど。
 橙は橙なりに、八雲の式であろうとしているつもりだった。のに。
(本当に、ただの“つもり”だったのかなあ……)
 少なくとも、自分の主人はそうは捉えていてはくれなかったのだ。すっかり元気を失って垂れ下がった耳と尻尾を、古びた縁側にぺたりと這わせて。
 自身を喪ったすきま妖怪の式の式は、うにゃあ、と自己嫌悪の鳴き声を上げた。


 (続)




 二日目にして長文傾向とかどういうことなの。

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