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【東方掌編?】ガラテアの毒

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 ――言うまでも無いことだが。
 人里から離れ、魔法の森を訪れ、怪しげな魔法使いに録でもない頼み事をしてくる人間の素性と言うのは限られてくる。
 堂々と表通りを歩けぬ日陰者か、あるいは醜聞を気にするほど裕福であるか、大抵はそのどちらかだ。
 そも、私は半月に一度は人形劇を披露しに人里を訪れているわけで、その上でなおわざわざ私の家を訪ねてくると言うことは、彼が余程後ろめたい事情を抱えていることを意味していた。
「……ようするに」
 溜息と共に告げる。別段、敢えて総括してやるほど意味のある会話があったわけではない。単純に、もうこれ以上くどくどと、言い訳めいた自己弁護を聞かされるのにうんざりしていただけだ。
「貴方は母を殺してしまった。でもそれに気付かれるのは宜しくない。だから代わりに人形が欲しいと、そう言いたいのね」
 実に単純。しでかした罪を無かったことにしたいと、それだけの事だ。私が言うと、彼は汗の浮いた額を拭いながら、何度も何度も首を縦に振る。くたびれた服を引きずって今にも足元に縋りついて来んばかりの様子に、私はどうにか口元に浮かびかけた不快感を飲み込む。
 気が動転しているにせよ、よくもまあこんな稚拙な手段を思い付くものだと心底呆れるが、どうも彼は、私がこの愚にもつかない頼みを引き受けけてくれるのだろうと、勝手に思い込んでいる節があった。人形遣いであるのなら、人形を作る依頼は引き受けて当然だと、そう決めつけているらしい。
「そう。解ったわ」
 いちいち訂正するのも面倒なので、了承ではなく、了解のつもりで口にしたが、案の定彼は誤解したらしく、テーブルに頭を擦り付けてあれこれと感謝を述べたてはじめた。涙と洟がテーブルクロスを汚すのが苛立たしく、私はブーツの底を床に押し付ける。
 どうも彼は、私は殺人の咎を責めなかったことに感謝し、感激し、喜んでいるらしい。
 魔法使いは人間なんて種族全般に興味を持たないだけなのだが、まあこれもどうでもいい話だった。






 10分でなにか書いてみる試み。
 アリスがどんどん酷い性格になってゆく……

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