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真・女神転生200X、妄想

 鳥取でプレイ中の真・女神転生TRPG 魔都東京200Xの展開についていろいろ考えてたらなんか妄想が止まらなくなった。
 下敷きとして『早苗さん達と一緒に幻想入りできなかった諏訪の土着神がいて、それをPCのひとりの巫女が仲魔として信仰しており、悪魔合体させながら少しずつ力を取り戻して行く』みたいな展開。最近、その神様の本体に近いものが出てきたのでいろいろと考えてたらこれ吐き出しておいた方がいいんじゃね? みたいな気分になったので。





 ▼

 『それ』がいつからあったものか、誰も知らない。
 けれど、古き大きな湖のほとりのその地に人が移り住み、生まれ、生き、死んでゆく中で、積み重なる歳月の中で、少しずつ少しずつ『それ』は膨らみ、折り重なり、凝っていった。
 殊に『それ』が強く惹かれたのは、人の死であった。生を全うしたことへの感謝と満足を孕んだ終焉ではなく、思いを果たせぬまま、十分に生きることのできぬまま悔い、呪ながらに果てた人の終わり。
 半ばで潰えた命。その多くは戦いに寄って生まれたものであり、同じ人の手に寄って奪われた命だった。
 多くの争いがあった。人々はいくつもの集団に分かれ、争い、殺し合った。
 そして長い長い歳月の中、いくつもの争いが繰り返され、そこには多くの死が積み重なっていった。『それ』はもう意味を持たぬものではなかった。
 『それ』はいつしかタタリと呼ばれた。
 形なきタタリを、人々は怖れ、避けようとした。
 けれどひとはタタリが避け得ぬものだと知ると、今度は『それ』を祀るようになった。
 どうか荒ぶることなく鎮まりたまえ。どうか我らに災いの振りかかることの無きようにと。
 水と緑の豊かなその国で、タタリを祀るために『それ』の象徴として選ばれたのは、石と樹であった。



 永い年月が過ぎた。タタリは多くの人々に信じられ、広まった。
 災いが起きれば、時の為政者がタタリを疎かにし、蔑ろにしたのだと怖れられた。平和な時代であれば、タタリが暴れぬよう祀って崇めているからなのだと畏れられた。
 タタリを鎮めるため、いくつもの祭礼がおこなわれた。
 タタリは恐ろしいものであり、ひとたび暴れ出せば災いをもたらす。つまりタタリは血と贄を好むものとされた。
 タタリの元へ、多くの贄が捧げられた。動物も人も例外ではなかった。
 その中に一人の娘が居た。集落の長が端女に産ませた娘であり、十を過ぎてもろくに喋れず、赤子のように四つ足で這いまわるような娘だった。子も産めず、働き手としても不十分とされた娘だ。
 娘には当然のように名が無かった。呼ぶ意味も、呼んでやるものもなかったからだ。
 知恵の足りぬ娘だが、タタリを祀るための祭礼の巫としては相応しいとされていた。タタリとは元来、言葉を持たぬものであるからだ。
 そのために生かされた娘にも、名前を付ける必要などなかった。
 娘は殺され、タタリへと捧げられた。娘は最後まで、自分が何をされるのか気付いていなかった。或いは、初めから自分が生きていたことにも気付いていなかったのかもしれない。



 そしてまた、長い年月が過ぎた。多くの国が興り、そして滅びた。時に人の争いで、時に自然の災害で。
 タタリはずっとそこにあり、繁栄と滅亡を繰り返す人々の営みを見続けていた。
 遥か西の、鉄をつくる国から追い出された戦の神を祀る者たちが流れ着いた時も。都と呼ばれる場所で政変が起き、仏を排すことを唱えて追放された一族がやって来た時も。
 長い長い年月が過ぎた。めまぐるしく時代が流れ、多くの者が命を落とした。
 いつしかタタリは忘れられ、けれどじっと其処にいた。
 タタリはかつて自分だったものが、石と樹を象る土着の神として祀られたことも知っている。八坂の神風を振るう軍神が、湖のそばに鎮座ましましたことも知っている。
 信仰を喪い、幻想となった二柱と、それを祀る神社が、どこへともなく姿を消したことも知っている。
 それでもタタリは其処にいた。自分が何であったのかも、もう良く分からずにいた。
 もう何百年も昔から、タタリはタタリであることを忘れられていた。正しくタタリとして機能するのかどうかも曖昧だった。もはや人は、タタリを必要として居なかったのだ。偶然と必然が分けられ、人を脅かすものの多くには名前が付けられた。
 それでもタタリはそこに居た。
 ずっとずっと、長い間。人が生まれ、死ぬよりも前から、ずっとずっとそこに居た。タタリの名を呼ぶものが、もはやどこにもいなかったからだ。


 そして今。
 タタリは、かつて自分に捧げられた、贄の娘に良く似た姿をして、そこにいた。
 自分と同じように、名前を持たぬまま生まれ、死んでいった娘は、タタリに一番近いものだったからだ。




「そう。確かに私はかつてひとであったものだ。死を、穢れを厭う人の恐れがタタリをつくり、そのタタリを崇め、怖れ、祀るために命を捧げた。災いは私の仕業とされ、それを鎮めるためにまた贄が捧げられた。幾千幾万の死が、私となった」

「そして今、私は私であったことも忘れられた。かつてひとであったことも、ひとでなかったことも。ミジャグジと呼ばれたことも、別の姿を与えられ、祀られたことも」

「そう呼ばれた神はここにはいない。どこにもいない。全て消えてしまった。はじめから神などいなかった。ここに住む者たちが私を神と呼び、神にし、また神ではなくしたのだ。
 私は初めから何ものぞまない。ただ、ここに居ただけだ」

「私がミジャグジと呼ばれていたものとおなじものなのか、私にはわからない。私をそう呼んだのも、私をそう呼ばなくなったのも、お前達、ひとなのだ。私はここに居る、それだけだった。それだけのはずだった」

「だがお前は私を見た。私を見つけた。お前は私を探していたという。私こそがお前のさがしていたものだという。お前の求めるものが私であるのか、お前の祀るべきものが私であるのか、私には分からない。
 ……だが、お前は私に名を付け、私の名を呼ぶ。私を祀るという。死せる時も、病める時も、私と共にあるという。」

「汝は求め訴えたり。ならば、私は神であらねばならぬ。
 共に往こう。私を神と呼ぶ、巫女よ。私に名を付けた少女よ」



「――私は神霊スワツチヒメ。今後ともよろしく……」


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