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【東方掌編】わたしメリーさん

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「――蓮子のばか!! もう口もききたくないわよっ!!」

 切欠は、ささいな勘違いによるすれ違いだったのだ。
 待ち合わせの時間とか、お昼に食べたいものとか、帰り道でのちょっとした寄り道とか、最近少々過剰気味な課題のレポートとか。……今日の私達はなんというか、あらゆる意味で噛み合わなかった。
 そんな状態のままで、アルコールが入れば気持ちのいい酔い方になるわけも無く。お互い、愚痴から始まって売り言葉に買い言葉。遂にメリーが怒り爆発となった。
 さすがに平手こそ出なかったものの、そのままベッドを占領、不貞寝をはじめて現在に至る。
「………………」
 あんな剣幕で怒るメリーは初めて見た気がする。少し酔いの覚めた頭で考えてみれば、そりゃまあ、私にも悪いところが無かったとは言わなくもない、くらいの気分ではあった。
 とは言え、私も同じくらいストレスがマッハなのは変わらない。
 ここしばらく止めていた煙草を求めて、指先がテーブルの上に無い灰皿を探してしまう。
(……ここ、私の部屋なんだけどね)
 私は今夜どこで寝れば良いのでしょうかねと吐息つつ、ぼんやりとベランダで夜風に当たりながら現在に至るのでありました。
 ふと空を見上げれば、星の告げる現在時刻は午後十一時十七分。そろそろ終電の心配が必要な時刻。
 あけっぱなしのベランダの奥では、相変わらず蓑虫みたいに毛布にくるまったままの友人の姿。
「ねえ、メリー、そろそろ時間よ」
「…………」
 聞こえているだろうに、相変わらず返事は無しの礫。
 やれやれと深く吐息。指先は相変わらず空っぽのポケットの中でシガレットケースを求めていた。こんなことなら、言われるままに全部捨てるんじゃなかったと後悔する。
 ――と。
「?」
 ポケットの奥で着信に跳ねる携帯を取れば、そこには見慣れた名前。
 着信履歴を占めている友人の番号だった。
「何よ、メリー……」
『もしもし、私メリーさん』
 振り向こうとした私に、携帯越しの声がそう呼びかける。
『今、あなたの後ろに居るの』
「…………」
『メリーさん@貴方の後ろなう。大事なことなので2回言いました』
 ややこしい拗ねかただなぁ。
 たぶん、泊めていけってことなのだろう。
 ……呆れた私の吐息は、夜風の奥に溶けていった。



 (了)




 メリーさんネタに再挑戦して見事玉砕。時期的には秘封倶楽部の結成前後の、まだ知り合ってそんなに時間の経っていない頃。
 蓮子はなんとなく煙草をたしなんでいた(今はメリーに言われて止めている)イメージがあるんですが、これは鏡花水月さんあたりの影響かなあ。

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