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科学世紀のカフェテラス

#2/21追記

 会場ではたくさんの方にお越しいただき、ありがとうございます。
 今回も無事完売となりました。

 手に入らなかったという方には誠に申し訳ありません。3月の例大祭にも既刊として用意するつもりですので、よろしければお気軽にお越しください。




 来たる2月20日、京都みやこめっせで開催されます『科学世紀のカフェテラス』に参加します。
 秘-41「折葉坂三番地」にてお待ちしています。
 bunner

 ケイヴァリット表紙
新刊:「ケイヴァーリットの多世界解釈」
     A5折本 48ページ 100円

 月の土地と前世紀のアポロ計画をめぐる、秘封倶楽部38万4000キロの旅。

 境界新刊表紙
既刊:「幻想科学ティータイム -'Phantaphysics Girls' talk-」
     A5折本 24ページ 100円

 境界から視えた外界で頒布したもの。再販です。
 幻想郷にやってきた秘封倶楽部の二人が、阿求と一緒に里で幻想郷の日常を過ごすお話。割と原作設定とかガン無視の短編集。

 蓮メリあっきゅん
 さらにオンリーイベント開催の記念合同誌「PARALLEL DREAMERS ~ the fantastic memorial fan books」にも参加させて頂きました。こちらでは6ページほど、阿求と小町とお燐のお話を書いています。


 ↓以下、サンプルとなります。
 ▼

 研究室の机に、見慣れない封筒があるのを見つけたのは午後になってからだった。
 前世紀をはるか過去にして、一旦は猫も杓子も電子化で日の目を見なくなった紙(ペーパー)のやりとりではあるが、神亀の遷都以来、情報への霊的守護の研究も進み、紙媒体の再評価が進んでいる。
 電子化犯罪への予防も含め、最近では再び公的な書類は紙媒体での使用が進められるようになっている。
 それでも、手紙という文化はいまや本来の姿を失って久しい――のだか。
「――残念ながら恋文(ラブレター)ってわけじゃなさそうね」
 色気も素気もない薄緑の封筒に呟きつつ裏返せば、そこには実に古めかしい印章。封蝋(シーリングワックス)まで捺された本格的な封印だ。
 差出人の名には見慣れない文字の羅列があった。
「……第六大陸開拓公社(Sixth Continent Cultivate Public Corporation)?」
 S.C.C.P.C.なる英文の略字と思しき組織名の下には、国外の住所と消印が並んでおり、この手紙が海を越えてきたものであることが窺える。
 さて、心当たりのない名前ではあったが、ダイレクトメールの類にも思えない。期待半分――いや、未知への興味と期待八割で封筒を破り、中身を取り出す。
 納まっていたのは数枚の書面と、国外行きの航空機のチケットが二枚。
「こりゃ本格的ね」
 正直、誰かの悪戯かと疑っていたのだが、どうもそんな気配ではないらしい。少し真剣に意識を切り替え、書面に目を落とす。
 まず、冒頭に正式な書類であることを示す刻印と認証。続いて記された文面はこれが開発公社の名前で起こされた法的手続きに基づく文書であることを宣言していた。
「…………ふむ」
 なにやら不穏な気配を感じつつ文字をなぞっていくと、実にシンプルで機械的な挨拶を挟み、本分はさっさと本題に入っていた。
 その内容は、私(以下甲とする)と開発公社(以下乙とする)の間で所有する資産(以下略)の譲渡契約を前提に、正式に交渉のテーブルに着くことを要求しているものであった。
 同封の航空機のチケットは、どうやら私とその弁護士あたりの渡航費用ということらしい。
 さらにこの書類は司法手続きに含められた書類であり、私に応答の意思がなければ強制的な執行も辞さないという一文が付け足されている。つまりは――
「立ち退き命令?」
 思わず口に出してしまい、私は慌てて周りを見回した。
 幸いなことに研究室の面々は皆、自分たちの作業に掛かりきりであり、こちらに注意を払っている者はいないようだった。論文から視線を上げた先輩に小さく頭を下げて、私は椅子の上に腰を下ろす。
「…………」
 眉間に皺を寄せつつ、読み間違いかと二度三度文面を追ってみるが、どう読んでもそうとしか取れなかった。念のため携帯で翻訳辞書まで通してみるが、さすが法的文書、誤読のしようもないくらいに内容はシンプルで、異議を挟む余地はない。
 ということは、これが偽物か盛大な勘違いか、誰かのドッキリでも無ければ、私は誰かに訴えられようとしているというわけだ。
「むう……」
 閉じた口をへの字では済まない気分に捻じ曲げつつ、二枚目の書面へ。
 こちらには私の保有しているという資産がリストになっていた。英文の馴染まない地番がずらずらと並んでいる。どうやら、私の資産とやらは土地であるらしい。
 読んでゆくと、そのほとんどが同じ地域に纏まっている。

 21. Mare Ingenii / 33.7°S163.5°E318km 234E-43
 22. Mare Ingenii / 33.7°S163.5°E318km 235E-47
 23. Mare Ingenii / 33.7°S163.5°E318km 235E-48


 ……見覚えのない地名だった。ぞろぞろと並ぶ地番はひと続きであり、購入の時期もばらばら。ただ、どうも隣接する区画を示しているらしいことは把握できた。
「開発公社って言うくらいだから、未開発地域なのかしらね。……にしてもすごい量ねこれ」
 リストの最後によると、総面積は四九万六四〇〇エーカー。
「……えっと、確か一エーカーが四〇〇〇平方メートルくらいだから……二〇〇〇平方キロ弱ってとこ?」
 ……って待て。
「東京まるまるひとつ分くらいじゃない!?」
 流石に、椅子を蹴飛ばしての二度目の大声は見逃してはもらえなかったようで、立ち上がった私に、周囲の視線が集中する。
「……あ」
 静寂の落ちた研究室の中、集まる奇異の視線から逃れるように、私はそそくさと研究室を後にした。


◆ ◆ ◆


「……参ったなあ」
 色んな意味でぼやきつつ、場所をキャンパス内の広場に移し、芝生上のベンチに陣取って。改めて取りだした封筒を確認する。
 住所の下にはアドレスが併記されていた。端末を取り出して読み取り、検索を試みる。
 結果のトップに出てきたのは、確かに実在する公的機関のノードだった。名称も封筒のものと同じ第六大陸開拓公社となっている。
 しかし更新は頻繁ではなく、活動内容の説明も数行でまとめられている程度。信憑性があるような気もする一方で、その気になれば騙ることも簡単に出来そうにも思える。
「〝人類の発展と、科学の進歩のために〟。第六大陸開発公社、ねえ……」
 公社の理念とやらと一緒に何度もその名前を舌の上で転がしてみるが、やはり身に覚えのないものだった。
 法的措置だとかはさておいて(置いていいものでもないが)一番の問題は、私自身が書面にあるような資産とやらに全く心覚えがないことだ。それで立ち退けと言われても困る。
 しかし勘違いや良くある詐欺の類で済ませてしまうには少々話が大げさだし具体的だ。
 ……なによりも。こんな面白そうなことを、単にそれで済ませてしまうのは私の探究心が許さない。
 本当ならすぐにでもメリーに相談したいところなのだが、確か彼女は今超心理定弦学の講義のはずだった。連絡はメールだけにとどめておいて、もう一度書面に向き直る。
 3枚目以降は、法律に基づいたあれこれの手続き書面らしい。都合5枚以上、あれこれと執行の正当性だの和解を求める書面だの、ややこしい言葉が並んでいたが、理系の人間にはこの類の言い回しは厳しい。読み始めて3枚目であえなく意識を失いかけ、私はベンチの手すりにごつんと頭をぶつけた
「いかんいかん……」
 痛む額をさすり、眉をしかめる。
 とりあえず斜め読みして確認する限り、要するに開発に必要な土地から私に立ち退けと言っているらしいことは読み取れる。
 しかし。
「そんなこと言われたってなあ……」
 見覚えのない地番の一覧にどうしたものかとベンチに背中を預け、封筒を透かすように顔の上に掲げる。
 そこに透けて見えた『第六大陸(Sixth Continent)』のロゴマーク。
「……って、これもしかして……!!」
 その図案化された印章に、私の脳裏をよぎる一つの推測があった。


 ………………。
 ……。

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