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新・保護者^2 その9

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「いやほら、ね? ちょっと待って。ほらユキ、ちょっといったん落ち着こう? ね? つまりその、別にこれはそのそーゆうことじゃなくてね? なんていうか様式美みたいなアレっていうかほら、わかるでしょ? ああゴメン違う。違うんだってば!! ……その、断じてそういうことじゃなくて。決してキミのことないがしろにしちゃってるワケじゃなくてね?! ええと、あーもうなんて言えばいいのかな、えっと、ああそうだほら、知ってる? 日本刀。あれってさ、昔は生活必需品って言うかいわゆる武士の魂ってことで、道具として使うことに意味があったわけじゃない? そりゃまあ刀なんだから斬れば血がいっぱい出ちゃうし死んじゃうかもだけど、まあつまりそーゆうために造られたものじゃない。善悪はどうあれそういうために造られた実用品なんだよ。でも、実用品だからって別に使い勝手さえ良ければいいって人ばかりじゃなくて、つねに身に付けてるからこそ、見栄え良くしようって思う人もいたわけなの。だから長い年月のうちに、綺麗な刀っていうのができて、美術品としての意味も持つようになったわけ。で、そのうち刀持つようなおサムライさんはいなくなったんだけど、実用品としてじゃなくて、美術品としての価値は残ったんだよ。知ってるかもだけど、一本で何百万円もするよーな高額の刀もあるわけ。これって単純な歴史的価値とは別なんだよ? で、そういう高額な価値のある刀の評価が、ぜんぶ実用部分、つまり刃の部分の機能性とか美しさにあるかって言うと、これがそーじゃないワケなんだよね。だってもう刀の評価のうち、どれくらい斬りやすいかとかどれくらい刃こぼれしないかとかを積極的に確かめる人はいなくなってるんだから。まあ積極的に確かめよーとしちゃったら捕まっちゃうわけなんだけどさあっははは。そりゃそーだよおねーさん大爆笑だ。……こほん、それでね、そーゆう日本刀の価値はどのへんに移ったかって言うと、それは柄とか目釘とか目抜きとか鍔の細工とか鞘とか――ああゴメン専門すぎてアレか。実は私もあんまりよく知らないんだけど、よーするに刀の装飾部分にある飾りとか、保護とかのために使う、刀の本来の『斬る』って用途とは違う部分にあるのだよ。でもそれは不自然なことじゃなくて、本来の用途と、普段身に付けるものなんだから綺麗にしようって心――私はたぶんこれも日本人の“粋”ってことなんじゃないかなって思うんだけど、その現われだと思うわけ。中には刀の刃そのものはそんなにたいしたことなかったり、刃そのものないのに、周りの拵えだけでやっぱり何百万円って価値がついたりすることもあるんだよ。……ってああ、違う違う勘違いしないでねユキっ!? こ、これはね、別に刀の刃そのものに価値がないってことじゃないの。刀の装飾としてこそ価値があるわけで、単純にその装飾品だけが評価されてるってことでもなくてね? そりゃそーゆうの専門に扱う人もいるけど、あくまで刀があってのことなのだと思うよいやホントおねーさんマジでそう思うなっ!? で、でね、だからその、つまり何がいいたいかって言うと、えーとほらなんだ。あぅユキ、ゴメンねなんか分かりづらかった? えっとそだな、あー、えーと、うーと、ああ、ほら!! そうアレアレ!! アレだアレ!! ユキ、アイスクリームって好きだよね? あ、いやソフトクリームのが好きなの知ってるけどカップアイスだって好きだよね? ほら、あれもそうなんだってば!! ほら、良くある話題だけど食べるときにふた開けて、蓋にくっついてるアイスとか舐めたりするじゃない? なんかアイス本体より美味しく感じるとか、いわない? あれもたとえばアイスの蓋だけたくさん貰っても別に嬉しくないわけじゃない? あくまで本体のアイスがあって、その蓋にくっついてるからなんかこー、ちょこっと幸せになる気がするわけで、たとえば豪華ディナーのデザートにカップアイスの蓋だけ出てきたらすっごい微妙な感じじゃない? ってことで、だからその、あくまでね、カップアイスの蓋はアイスの蓋だからこそその稀少価値? みたいなのがあるわけで、それが美味しいって思うのは、決してアイス本体よりそっちのが好きってわけじゃなくて、あくまで大好きなのはアイスのほーであって、カップアイスの蓋だけあればシアワセってことでは、断じてなくてですね、その、つまり……ええとユキさん、あの、ですからその……よーするにですね……」
「で、それがわたし完全放置のそっちのけでひたすらひたすらただひたすらにぱんつをふゅふゅすることに夢中になってたことへの言い訳でよろしーのでしょうか、おねーさん?」
「いや、ほら待ってってば? なんていうのかな、たぶんユキも緊張してるだろーし、なんというか軽くリラックスのつもりでですね? ほら直接いきなりだといろいろ痛かったりなんだりで大変かなーと思って、布地越しのそふとなたっちは重要かなとかいちおうこれでも熟慮の上にですね、だから断じてユキのことをどーでもいいと思ってたわけではなくてですね?」
「そーですかおねーさん。お気遣いたいへん感謝しますけど、それじゃあ脱がせたあと3時間もそっちの布っキレだけえんえん弄りまわして夢中になってる理由にはなりませんよね? 素っ裸のわたしだけ置いといて。で、挙句わたしがいーかげん呆れはてていなくなってるのにも気付かないってどーですかね? 人として。……おねーさん、いっそそれと結婚しますか? その使い古しの布っキレと。……いいですよ、もー二度と穿く気ありませんからそれ。もともとお気に入りだったんですけど、いまは見るのも嫌になりましたから。……で、そーやってわたしが心底激怒してるってわかってるのにそこで一瞬でも『らっきー♪』みたいな顔しちゃうのがとことん救いようないですねおねーさん? ああ、新婚旅行が決まったら教えてくださいね。こっとんの星でしたっけ? いくらでも行って来たらいいじゃないですか。帰ってこないでもいいですよ? わたし、すっっっっっっっごくお邪魔みたいですからね、おふたりの。……おねーさん、長い間お世話になりました。どーぞ末永くお幸せに、その布っキレと素敵な家庭を築いてくださいね? ああ、いちおうお祝いだけはしてあげます。わたし、おねーさんと違って、いたって常識をわきまえたオトナになりたいもので。見たくないもの見ても、スルーするくらいのスキルは身に付けたいんです。それじゃあ、ごゆっくり?」

 するする、ぺしん、と襖が閉じる。
 私と、私の握り締めたユキのぱんつ一枚を残して。

「ゆ、ユキーーーーーーーーーーーーーーーーッ!? かむばーーーーーーっくッ!!!!」



 (続く。)



 

 新ジャンル:自分のぱんつに嫉妬。

 ……つくづく自分頭悪いなと思った。
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新・保護者^2 その8

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 ごうんごうん、という重い音で目が覚めた。
 頭が重い。いやもうこりゃどうも完全に寝不足な気がする。当たり前だけど。

「ふわ……おはよ、ユキ」
「ひあ!? あ、お、おはようございます……おねーさん」
「んぅ……なに? こんな早くから洗濯? 学校もうお休みだっけ?」

 すっかり着替えてエプロンまで付けて、ユキは洗濯機とにらめっこ。
 起き抜けの頭を掻きつつ、その脇を抜けつつ洗面台へ向かう私。

「え、えっと、はい、そ、そうですそうなんですよ!! もうクリスマスもおしまいですし、いつまでも浮かれ気分続きもどーかと思いますので、年の瀬を前に少しずつ大掃除をですね……」
「ん……そっか。無理しないでね、私も帰ったら手伝うから」
「へいきです。ちょこっとずつやってますから」

 ぺたぺたと台所に向かいつつ。気になったので振り返った。

「ところでユキ」
「はい?」
「あーいうシーツの汚れとかはよーするにたんぱく質だから、普通に洗うだけだと跡残っちゃうから。まずはちゃんとシミ抜きしてからのほーがいいと思うよ」
「――――っ!?」

 ぽろ、と洗剤のスプーンを落っことし、ユキが“がばっ”とこちらを向く。

「あ、ぱんつも以下同文。あれ、せっかくお気に入りみたいなんだからちゃんと綺麗にしておいた方がいいんじゃないかな、穿けなくなっちゃうだろうし……ってあれ? ユキさん、ちょ、待って、痛い、痛いってば!! いや別にこれ特にいやらしーとかそーゆう意味じゃなくて純粋におばーちゃんの知恵袋的なお話であって痛い痛いってばーっ!?」
「ひにゃぁああああああーーーーーっっ!!!」
「うわやめそれまずい痛い重い死んじゃうってば!? ユキさんストップ!! 落ち着いて!! ああもう朝からなにごとーっ!?」


 (続く。)

新・保護者^2 その7

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「ユキ、もう7時だし私待ちきれないしそろそろ遅いからサンタさんが来る前に念入りにシャワー浴びてちょっとフローラルなリンスとかつけてお気に入りのぱんついちまいのカッコでふかふかのベッドに寝るといいと思うよ。ああもつろんいつもの五枚千円のでもいいけどちょっと背伸びして買っちゃったクローゼットの二番目の引き出しの一番奥のレースのやつとかでも歓迎かなっ!! できるだけはやくちょっとやそっとつついたくらいじゃ起きないくらいぐっすりと眠ってると色々やりやすくて素敵かもね!! あ、あと枕元にちゃんと今日のぱんつ置いとくの忘れないようにっ!!」
「あぁもうイブだってのにどこからつっこんでいいのかわかりませんよぅーーっ!?」

 テーブルの上の七面鳥がぱこんと跳ねて、ユキはいつものごとく涙目。
 やはりこれを見ておかないと一年終わったという気になれないもので。

「だ、だいだいでずね枕元にぱ、ぱんつってそんなの置いといてなにがいったいどーなるんですかおねーさんっ!?」
「いやそりゃあもう、もちろんユキの枕元に足音忍ばせてはあはあ言いながらやってきたサンタさんが今年一年頑張ったスイーツな自分へのご褒美(笑)に持ってくからねっ!!」
「ですから何やってんですかうちのサンタさんはっ!?」
「え、だってほら、世間では靴下もそーゆうふうに需要あるのは分かるけど、やっぱりおんなのこのぱんつが生きてく上での必須成分だもの。サンタさんもそのところよーく分かってるから、イブになればもう絶好調で世界中のかわいい女の子のぱんつはもうありったけ全部残らず残さず余らせずに持ってくからねっ!! 世のようじょがぐっすり眠ってるところに忍び寄りつつ丁寧にかつやさーしくでも大胆に!! 一晩経つ頃にはあの袋の中身とかってもう全部ぱんつだからね!!」
「プレゼント配りましょうよぅっ!?」
「あ、勘違いしないで? もちろんぱんつの中に入ってるましゅまろみたいに可愛いおんなのこのほうがもっと好きなんだよ? けどねっ!! やっぱりぱんつはこの過酷な不況の中でも人生に生きる糧を与えてくれるものだから!! そればっかりは譲れないの!! ユキ、わかってくれる!?」
「ですからどこからつっこめばいーんですかもうぅ!? きょ、今日はなんかもう欲望に忠実すぎやしませんかおねーさんはっ!? クリスマスの大切な夢を世界規模のヘンタイさんにしないでくださいっ!? いろいろあってテンション高いのは分かりますけどトップギア入りすぎですってばーっ!!」

 ばんばんとテーブルを叩いて抗議するユキ。
 流石に熱が入りすぎたかと思い、とりあえず深呼吸して遠くを見てみる。

「……ねえ、サンタさんが信じられなくなった時、女の子は少しだけオトナになるんだよ、ユキ」
「なんかそれっぽくいい話にしよーとしてるのかもしれませんがおねーさん、その言い回しはなんかもっと危険が危ない感じがひしひしとっ!?」
「うん、だからユキ、サンタさんへのプレゼントをちゃんとぱんつに入れておくよーにっ!!」
「ぜ、全然話通じてませんねっ!? うぁーーーんっ!? お、おねーさん、正気にもどってくださいーっ!!」



 …………。
 ……。



「…………。」
「……あのさ」
「…………。」
「……いや、まあわかるよ? わかるけどさ。確かに言ったさ言ったともさ。でもね? それできちんと言われたとおりのこと実行に移しちゃってるキミもキミでどーかと思うんだけどね、ユキさん?」
「うぅ……だ、だって、だってですねっ、だってですねーっ!! ぉ、おねーさんがあんなこと言っていじめますからですねっ、は、恥ずかしいの、我慢して、わたしだって、その、せっかくですねーっ!!」
「ああもうよしよし。泣かない泣かない。……ホントいい子だねぇユキは。ほれいいからおヘソ出してないでちゃんとお布団かぶりなさい。風邪ひくってば」
「うぁーんっ……」
「よしよし。べりー・めりー・くりすます」


 (続く。)




 クリスマスに誤字脱字直しつつ加筆修正。

新・保護者^2 その6

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「あ。おかえりなさいですおねーさん。今日はお早いんですね?」
「ユキ」
「はい?」
「ちょっと時間いいかな。こっち座ってくれる?」
「え、ええと、なんでしょうかおねーさん、その、ずいぶん改まって……」
「うん。ごめんね、そんなにかからないと思うんだけど、ちょっとだけ大事な話」
 鞄から書類など出しつつ、リビングのテーブルへ。
「は、はいっ……」
 ただならぬ気配は察してもらえたらしい。正装の私につられたか、ユキも神妙な顔をしつつとてとてぺたん、と遠回りしてテーブルの向こうに正座する。
「あ、あの、なんでしょうか……おねーさん」
「……あのね」
 焦らすのはよろしくないと思いつつも、躊躇ってしまう自分に少々嫌気。
 だがまあ、先延ばしにしても済む話じゃあないしなぁ。
「お、おねーさん? あの、なにか、その……わたし、ごめーわくなことを、してましたか? ……えっと、どんくさいですからわたし、気づかないうちにおねーさんを不愉快にさせたり――」
「ユキ」
 名前を呼ばれて、ユキはひぅ、と声を詰まらせる。 叱ったわけでもないのに、ただそれだけで――ユキは身を竦ませて俯いた。
 そして――すぐに、顔を上げて笑顔を作る。ひび割れたカタチだけの笑顔を。
「あ、あはは、そですね、……ごめんなさい。余計なことでしたっ。わたしみたいなおこさまが気を回すのはその、なんですか、ええと……出過ぎましたね。鬱陶しかったですよね。その、ええと……」
 年齢に不似合いな言葉の羅列がぐるぐると巡る。彼女があの苛酷な環境で自分を守るために必死に身に着けてきた処世術は、そうして目にすればするほど歪で、世の多くの人を苛立たせるのだろう。けれどだぶん、ユキはそれ以外に自分を守る方法を知らないのだ。
 そんなもの、決して――必要なものではないはずなのに。
「おねーさん、あの、……えっと……あ、あはは、なんでしょうね、その……あ、わ、わたし、なに言ってるんでしょうね、あはは……」
「ユキ」
 ふう、と吐息。テーブルの上に身を乗り出して、少女の頭にそっと手を載せる。
 びく! と身を竦ませるユキは、けれど、動かない。そうしてはいけないのだと教わったからなのだろう。
 そんな彼女の様子を見ているのは、酷く嫌だった。
 だから覚悟を決めて、私はまっすぐに彼女を見つめ、喉に引っかかっていた言葉をそのまま口にする。

「君のぱんつが欲しい。脱ぎたてが欲しい」

 …………。
 ……。

 ユキのフリーズ時間はおよそ30秒。とりあえずえらく男前な顔だけは保ってみた。
「…………おねー、さん?」
「……(きりっ)」
「っ、あーもうっ!? あーもうぅっ!? おねーさんっ!? きょ、今日とゆー今日はですねっ!? これまでもいろいろアレだと思ってましたけどねっ!? 実は内心わたしも半分くらいはそんなことだろーと思ってましたけどホントここ一番の期待ってのを裏切りませんねおねーさんはっ!? このタイミングはなんていうかいろいろそのですねっ!? もう反省と謝罪だけじゃすまないところだと思うんですがっ!? い、慰謝料とか要求しちゃっても誰にもとがめられないレベルだと思うんですかどもっ!? 真面目な顔してなにを直球ストレートど真ん中にヘンタイさんなことを言ってますかっ!?」
 ……半分なのか。ううむ思ったより信用あるな私。
「大切にする。約束する。家宝にして神棚に置いて毎日拝むから(キリッ)」
「いやですからそこで土下座ってひととしてどーなんですかもうわたしはじめて見ましたよ土下座とかそもそもっ!? やーめーてーくーだーさーいーっ!?!? なんですかその絶望的にあたまのなかのどこらへんかがどうしよーもなくなっちゃってる大切にされかたはっ!? もう冗談ってレベルじゃないですようーっ!?」
「もちろん夜も一緒に寝るから。具体的に言うと寂しい夜のお供に」
「すすすすとーっぷっ!? だからってそっち方面はもっとだめですようっ!? おねーさんお願いですから世間体とかを考えてですねっ!?」
「ユキ(のぱんつ)は俺の嫁」
「あのホントこれ素直な感想なんですけどおねーさんはいちどちゃんと病院行ったほうがいいと思いますよう冗談とかじゃなしにっ!?」
「ああ、つまりぱんつじゃなくてわたし(はいてない)を見てってことね?! 困っちゃうなぁそんなにストレートに(てれてれ)」
「ぁあああもうおねーさんまだお日様でてる時間なのに大暴走ですねっ!? ブレーキどころかハンドルもないですね!? アクセルとアクセルとアクセルしかないみたいなもうっ!?」
「ユキたん萌えー。ふごーふごー(爆)」
「ふごーじゃないですようっ!?」

 概ね。
 3ヶ月に1回ほど、ユキはこうして日頃のストレスを解消しているとかなんとか。


 (続く。)

新・保護者^2 その5

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 抜き足、差し足、忍び足。
 無音を保ち、気配すらも断ちきって、慎重に脚を進める。目指すはバスルーム横の洗濯カゴ。ついさっきまでカーテン一枚の向こうでユキがあられもなくぺたーんでろりーんな肢体を余すところなくさらけ出しての生脱衣ショーを繰り広げていた場所。
 目的のブツの在り処は既に入念にリサーチ済み。最小限の動作でほんのりと残る少女特有の甘い匂いのなかから、程なくして目標を補足。
「…………」
 脱いだ服の上にくるんと丸められた、飾り気のないま白いこっとんの布地。肌になじむ手触りとお手ごろな価格が評判の――ぬぎたてぱんつ。
 熱くたぎる決意とともに、ぐっと握り締めたそれを、エプロンのぽっけに丸めて突っ込む。
「よし……!!」
 みっしょんこんぷりーと。実に自然な流れで手に入れた手際に、思わず嬉しさがこみ上げてぐっと拳を握る。安い言葉では語れないほどの感動が、静かに胸のうちを満たしてゆくのだ。ああ、まさに至福。
「そんなやり遂げた女の顔してもごまかされませんようっ!!」
 どばんっとバスルームの扉を押し開けて仁王立ちのユキ登場。いちおーバスタオルとか巻いてはいるけど実に凹凸のない水中での抵抗を極力排したぼでぃーらいんのおかげでいつタオルが落っこちるのかはらはらしちゃうくらい。うんいいよいいいよもっとやって!! おねーさん大歓迎だ!!
「ですからおねーさん、洗濯とかおふろのたびにそーゆーことするのやめてくださいようっ!? やめろって言ってもやめられないのかもしれませんけど、依存症に打ち勝つにはまず自分の現状を認めるっていう第一歩が大事だと思いますっ」
 わーおいきなり酷い言われようだね私ってば。
「いいじゃない、売ったりしてないよ?」
「当たり前ですようーっ!? し、してないですね!? ほんとうにしてませんよねっ!? し、してたらもうおねーさんとは一生絶交ですからねっ!!」
「いいじゃない後でちゃんと返してるんだから。二時間後ぐらいに」
「ぐ、ぐたいてきな時間はなんか生々しいので伏せてくださいようっ!? だ、だからなおさら困るんですっ!! ちゃんと綺麗に洗われてアイロンかけてなんだか普段とは違う妙にふろーらるな香りまでついてる上にお店の人も顔負けなくらいに綺麗にたたんで返されたほうがかえって気になりますからっ!! その、おねーさんはいったい、その、それでなにをなさってるんですかっ!?」
「そりゃあもう、皺の寄り具合からステッチのほつれまで微に入り細に渡って神の手のごとく徹底して詳細なスケッチをですね。あ、これ毎日更新してるブログ。げんえきじょしちうがくせいのぱんつを克明かつスリリングにアップし続ける日記(アダルトカテゴリ)」
「っだぁああああーーーーーーーーーーっ!? な、なにをやっちゃってくれやがりますかこのひとはーっ!?」
「大丈夫だよ。会員制だしそもそも見てる人みんなぱんつのほうにしか興味ないから。むしろ穿いてる子が写っちゃうと叩かれるくらい」
「そのほうがよっぽど問題ですようっ!? っていいますかなんですかその致命的に病的なこみゅにてぃーはっ!? おねーさんそんなのの一員なんですかっ!?」
 すげえ今私ってば両親の仇の悪の組織の幹部みたいな感じに睨まれたっ!!
「と、とにかく!! いくらおねーさんでもやっていいことと悪いことがありますようっ!?」
「見る?」
「見ませんようっ!!!! 今の話のどこをどーしたらそんな結論になりますかっ!? ぜ、ぜっっっったいに嫌ですからねっ!?」
「ん。ナイスツンデレ」
「要素皆無ですようっ!? あと実際ツンデレって広まり出してから妙に勘違いするひとが増えちゃって困ってる女の子って多いんですようっ!? おねーさんも社会的な影響力をかんがえて自重してくださいようっ!!」
 いやまあこんなサイトに影響力あるとも思えませんが。ははは。
 ……ええいうるさいやい。
「ま、あれだね」
「はい?」
「生命活動って大変だよねぇ」
「うぁーーーんっっ!! ぐ、ぐれてやるーっ!!! 盗んだバイクで走り出すじゅうごのよるーっ!! 支配からのそつぎょうをーっ!!」
「古いなまた。てーか良く知ってるねぇ去年までランドセル背負ってたのに」

 その後。
 タオル一枚で玄関から飛び出していったユキがいい加減顔なじみになった近所の交番のおまわりさんに補導されて、私含め6時間ばかりこってりとお説教をくらいました。

 (続く。)
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